2026.04.10
パーキンソン病の治療とは? ―在宅でできるケアから最新治療まで―

こんにちは 上野院院長(兼クワガタブリーダー)です
上野院では神経難病、特にパーキンソン病患者さんの割合が徐々に増えてきていますので、今回は私が専門としているパーキンソン病の治療についてご紹介いたしますはじめに:パーキンソン病とはどんな病気?
パーキンソン病は、脳の中で「ドパミン」という物質が減ってしまうことで起こる病気ですドパミンは体の動きをスムーズにする働きがあり、それが不足すると次のような症状が出てきます
- 手足のふるえ(静止時振戦)
- 動きが遅くなる(動作緩慢・無動・寡動)
- 筋肉のこわばり(筋強剛・固縮)
- 転びやすくなる(姿勢保持障害)
進行性の病気ではありますが、専門医による適切な治療を行うことで、長く日常生活を維持することが可能です
パーキンソン病の治療の基本:お薬による治療
まず治療の中心となるのは「内服薬」です主なお薬の種類
- レボドパ製剤(最も基本となる薬)
- ドパミンアゴニスト
- MAO-B阻害薬
- COMT阻害薬
- アマンタジン など
在宅診療で大切なポイント
在宅では特に以下が重要になります
- 飲み忘れを防ぐ工夫(服薬支援)
- 「効いている時間(オン)」と「切れる時間(オフ)」の把握
- 副作用(幻覚、クネクネ、眠気など)の観察
- 生活リズムに合わせた薬の調整
進行した場合の選択肢:デバイス治療
お薬だけではコントロールが難しくなってきた場合、「デバイス治療」が検討されます主なデバイス治療(イラストはすべてパーキンソンスマイル.netより引用)
① 脳深部刺激療法(DBS)
手術で脳に電極を入れて電気刺激を与えることで、症状の変動を少なくしたり、お薬の量や種類を減らして副作用を抑えたりすることができます
② レボドパ持続経腸療法(LCIG)
お腹にチューブを入れ、レボドパを持続的に投与して、症状の変動を少なくし、何度もお薬を飲むストレスを軽減する方法です
③ 持続皮下注射療法(ヴィアレブなど)
皮下注射で薬を持続的に投与して、症状の変動を少なくし、何度もお薬を飲むストレスを軽減する方法です
④ MRガイド下集束超音波療法(MRgFUS)
脳に超音波を当てて、その部分を凝固し、パーキンソン病のふるえの症状を改善します
在宅医療との関わり
- デバイス管理(ポンプやチューブ、操作方法の確認)
- トラブル対応
- 家族への指導
最近話題の治療:iPS細胞を用いた再生医療とFABP3阻害薬について
①近年、注目されているのが「iPS細胞」を使った治療ですどんな治療?(イラストはプレスリリースより引用)
iPS細胞から作製したドパミン前駆細胞を、手術によって脳内の被殻に移植する治療です
ウェアリングオフを軽減し、症状を安定させる可能性があります
現在の状況
- 条件および期限付き承認の段階
- 最長7年間データを収集して有効性・安全性を確かめていく必要がある
- まだ一般的な治療ではない
将来的には「根本的な治療」になる可能性があり、研究が進んでいます
②「FABP3」というタンパク質に着目した治験が始まります
どんな治療?
パーキンソン病の原因蛋白であるαシヌクレインがドパミン細胞に侵入するのを助けるタンパク質FABP3を阻害して、パーキンソン病の症状や進行を抑える治療です
現在の状況
- 今後臨床研究・治験が始まろうとしている段階
- 2030年の実用化を目指している
これまでの治療とは違い、神経細胞の変性を防ぎ、症状を緩和するだけでなく、発症した患者さんの症状を改善する可能性があります
現時点では、疾患修飾薬(抗αシヌクレイン抗体、GLP-1受容体作動薬、キナーゼ阻害薬など)は実用性が証明できていませんが、今後も研究・新薬開発が期待されます
在宅診療でできること
パーキンソン病の治療は薬だけではありません在宅では次のような支援が重要です
① 生活支援
- 転倒予防
- 食事・嚥下のサポート
- 排泄のケア
- 動きを保つ運動
- 日常生活動作の維持
- 不安や抑うつへの対応
- 家族のサポート
- 医師
- 看護師
- リハビリ(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)
- 薬剤師
- ケアマネジャー
- 在宅医療サービス(診療・歯科・看護・介護・リハビリなど)
まとめ
パーキンソン病は進行する病気ですが、- お薬による治療
- デバイス治療
- 将来の再生医療
- 在宅での総合的な支援
上野院では、「その人らしい生活」を大切にしながら、病気と付き合っていくお手伝いをしています


